英語を「勉強」してきたのに、話せるようにならなかった。
そんな人、日本にはごまんといると思います。
でも、それってあなたのせいじゃない。英語の学び方、順番そのものが間違ってるからです。
1. なぜ日本人は英語が話せないのか?
多くの日本人は中学・高校・大学と10年近く英語を学んでいますが、それでも「話せない」「聞き取れない」と悩む人がほとんどです。これは単に努力不足ではなく、学習の目的と順番を間違えているからです。
日本の英語教育の中心は、依然として「文法」「単語」「読解」。そしてそれを測るのはテスト。つまり、「英語を使う」ではなく「知識として覚える」ことに重点が置かれています。
リスニングやスピーキングの授業はごくわずか。ALTとのやりとりも形式的で、実践的な練習には程遠い。言語の本質である“音”を無視している限り、英語が話せるようになるはずがないのです。
2. 韓国との比較:「英語力」が人権になる世界
韓国では、英語力が就職や昇進において非常に重視されており、TOEIC900点がないと大企業では相手にされないとも言われています。教育現場でもスピーキング・リスニング重視が進んでおり、日本とのギャップは年々広がっています。
韓国の子どもたちは小学生からオンライン英会話や留学経験を積み、英語を“生きたスキル”として扱っています。一方日本では、いまだに“受験のための英語”が支配的。グローバル時代において、英語力を「贅沢品」ではなく「必需品」と捉えるかどうかが分かれ道です。

3. 英語学習の正しい順番とは?
言語を習得する際には、自然で効率的な“順番”があります。
それは、まさに赤ちゃんが言葉を覚えるプロセスそのものです。
- リスニング(音に慣れる)
- 発音(音を再現する)
- スピーキング(言語として使う)
- リーディング&ライティング(知識として整理・発展)
この順番には明確な理由があります。ただの「感覚」や「楽そうだから」ではありません。
ここでは、いくつかの観点からこの順番の合理性を深掘りしていきます。
🔹 習得効率の観点:インプットなしにアウトプットはありえない
「話す」ためにはまず「聞く」必要があります。
でも日本の学校では“話す練習”をいきなりやらされることがある。でも、聞いたことがない音は絶対に発音できないし、発音できない音は聞き取れません。
たとえば、英語の”r”の音。
日本語にない舌の使い方なので、まず耳で何度も聞いて、その音がどんなものか把握する必要があります。聞かずにいきなり「言ってみて」と言われても、再現できるわけがない。
つまり、インプット(リスニング)が先、アウトプット(スピーキング)は後。
この順番は、言語学・心理学の観点から見ても非常に理にかなっています。

🔹 発音の習得は「短期集中型」でOK
発音って「難しそう」「時間がかかりそう」と思われがちですが、実は必要な範囲は限られていて、集中的にやれば比較的短期間で習得可能です。
- 英語の母音:約20種類(うちよく使うのは10種類程度)
- 子音の違い(r/l, th, v/fなど)を押さえれば聞き取りの精度が一気に上がる
- IPA(国際音声記号)の基礎がわかると“見える化”される
これらを1〜2ヶ月程度、毎日10〜15分程度でも練習すれば、驚くほどリスニングが変わるのを実感できます。
逆に、発音を知らずに何年リスニングしても、「聞こえない音」はずっと聞こえません。
発音学習は「英語の地図」を手に入れるようなもの。
これがないまま話そうとするのは、地図なしで知らない街を歩くようなものです。
🔹 継続性の観点:最初の“成功体験”を早く作れる
リスニング → 発音の流れで英語に触れると、短期間で「英語がわかる!言えた!」という成功体験が得られやすいです。
たとえば:
- ある日突然、「Did you」が“ヂュ”って言ってると気づいたとき
- ネイティブの真似をして“Thank you”をちゃんと[θæŋk ju]って言えたとき
こういう小さな体験の積み重ねが、学習のモチベーションを劇的に上げます。
一方、最初に読み書きばかりやってると、「いつ話せるようになるんだろう…」という不安だけが膨らんでしまう。
継続には、「わかる・できる・伝わる」という体感が欠かせません。
🔹 心理的負担を減らす:話せないのは“恥ずかしい”じゃない
日本人が英語を話すときに感じがちな「恥ずかしさ」や「発音に自信がない」という壁。
これも、リスニングと発音を先にやっておくことで大きく軽減できます。
なぜなら、英語の音に慣れれば、自分の発音がネイティブとどれくらい違うか、どこを直せばいいかが自然とわかるようになるからです。
つまり、“正解のイメージ”が頭の中にある状態で話せるようになる。
英語に対して「なんとなく苦手」「どうせ通じない」と感じる人ほど、発音の地固め→スピーキングの順番が効きます。

🔹 読み書きは「整理」と「知識の深堀り」
誤解のないように言っておきたいのは、読み書きも大事だということ。
でもそれはあくまで、「言語として整理・分析」する段階で重要になるもの。
スピーキングまでできるようになってからリーディングに取り組むと、実は理解がものすごく早くなります。なぜなら、音声で知っている単語が文字として出てくるからです。
たとえば、“should’ve”を音で知っていれば、文字で見たときもすぐに理解できる。
逆に、文字だけで“should have”と学んでいると、“シュダブ”と言われたときにピンと来ない。
このように、音→文字の流れの方が、学習効率も記憶定着率も圧倒的に高いんです。
4. なぜ発音がリスニングとスピーキングの“鍵”になるのか?
「発音は最後でいい」「聞ければ話せるようになる」という声もありますが、それは半分正しくて半分間違いです。
なぜなら、発音はリスニングとスピーキングをつなぐ“橋”のような存在だからです。
英語の音は、日本語とまったく構造が違います。
- 子音の数も多い(r, l, th, v など)
- 母音は20種類以上
- 「音がつながる(リンキング)」「音が消える(脱落)」ことが多い
- 強弱のリズム、イントネーションの流れがある
これらを知らないまま英語を聞いても、頭の中では日本語フィルターがかかってしまい、カタカナ的に誤解した音しか聞こえてこない。
さらに、自分が出せない音は聞き取れない。
そして、聞き取れない音は当然、発音できない。
このサイクルを断ち切るには、発音という“地図”を持って耳を鍛える必要がある。
発音は「音を理解する力」であり、「再現する力」でもあるのです。
5. 日本の発音軽視とその代償
では、なぜ日本ではここまで発音が軽視されてきたのでしょうか?
理由はシンプルで、「教える側が発音を学んでこなかったから」です。
学校の英語の先生たちも、発音を専門に学んできた人は多くありません。
英語科を出ても、音声学をきちんと学んだ人はごく一部です。
その結果、「発音はフィーリングで学ぶもの」「発音はネイティブにしかできない」という空気が広まり、実践的なトレーニングが行われなくなった。
これは大きな損失です。
- 通じる英語が話せない
- 聞き取れない
- 英語が苦手になる
- 英語を使う仕事が遠くなる
こうした悪循環のスタート地点には、発音教育の不在があるといっても過言ではありません。
6. 共通テストと「測られる英語力」のズレ
「それでもテストではそこそこ点が取れるんだよね」という人も多いでしょう。
実際、共通テスト(旧センター試験)でもリスニングや発音の問題は出題されます。
しかし、その実態はどうか?
- 発音問題はごく一部(しかも選択式)
- リスニングはゆっくり・クリアな音声
- リアルな会話のスピード感や抑揚は無視されている
つまり、テストの英語と現実の英語は“別物”なんです。
学校の試験で高得点を取っていても、海外旅行で「Can I get water?」が通じない。
これが日本の英語教育の現実。
英語が「教養」や「試験科目」として扱われている間は、本当に使える英語力は育たないのです。

7. 「正しい順番」で学ぶと英語がラクになる理由
一方、リスニング→発音→スピーキング→読み書きという自然な順番で英語を学び直すと、どうなるか?
✔ 音に慣れることで、英語に対する抵抗感がなくなる
✔ 発音を知ってるから、聞き取りもラクになる
✔ 音で覚えた単語は、長期記憶に残りやすい
✔ 話す力が伸びると、「伝わった!」という快感が得られる
✔ 読み書きに進んだとき、知識の定着スピードが上がる
特に、「音で覚えたものは忘れにくい」というのは、脳科学でも証明されている事実です。
音と感情が結びつくことで、学習が“体験”になるから。
つまり、順番を変えるだけで、「つらい勉強」が「楽しい成長」に変わるんです。
8. こうやって学べば伸びる:実践ステップ
じゃあ、どうやって学び直せばいいの?
以下は、実際に多くの学習者が成果を出している順番です👇
① リスニングから始める
Netflix、YouTube、TEDなど。内容がわからなくてもOK、とにかく“聞く時間”を確保。
② 発音の基礎を学ぶ
YouTubeの発音チャンネルや、アプリ(ELSA Speak、シャドテン)で音を分解。
IPA(音声記号)を知ると、耳と口の精度がグッと上がる。
③ シャドーイング+音読
英語の音を“真似る”練習。最初は意味よりも音の再現力を重視。
④ 短いスピーキング練習
英語日記、AIチャット、オンライン英会話など、自分の音で英語を発信。
⑤ リーディング&ライティング
音で覚えた単語が、文字として現れる喜びを感じながら、知識を補強。
この順番で学ぶと、1ヶ月で「聞き取れるようになった!」という体感があり、3ヶ月で「簡単な会話ができる」レベルに到達できます。
9. 読み書きの重要性は“最後”にくる
誤解しないでほしいのは、読み書きを否定しているわけではないということ。
実際、リーディングやライティングができると、情報収集力も発信力も格段に上がります。
ただ、英語の学習初期に読み書きばかりしてしまうと、
「知識はあるけど話せない・聞けない」状態になりやすい。
これはまさに、日本人の英語学習の典型です。
つまり、読み書きは「最後に伸ばすべきスキル」なんです。
発音とリスニングの“土台”ができたあとで読み書きに入ると、
音と文字がつながって「英語が立体的に理解できる」ようになります。
10. 終わりに:学び方を変えることで人生が変わる
英語が話せるようになることは、人生の選択肢を爆発的に広げてくれます。
- 海外旅行で不安がなくなる
- 外国人の友達ができる
- 仕事でチャンスを掴める
- 海外の情報にリアルタイムでアクセスできる
- 自分の考えを世界に発信できる
でもそのためには、学び方を変える勇気が必要です。
「リスニング→発音→スピーキング→読み書き」
この順番に沿って、自分の英語学習をもう一度組み立て直してみてください。
英語がわかると、世界の景色が変わります。
そしてその景色の中に、“自信を持って話すあなた”がいるはずです。
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